6月に入ってからアパート敷地内の素敵なスペースをアトリエとして提供して頂いた。大きな窓とステンドグラスがとても素敵。屋根裏部屋もある。

 

 


 

屋根裏へと続く階段。実は手すりは途中から壁にペンキで描かれていてトリックアートのようになっている。

 

 

 

アートセンターのスタッフさんとアパートのご近所さんがアトリエとして使えるようパネルを設置してくださった。

皆さんとても親切でこんないいスペース用意してもらったら必死で作品作らないといけないなと思った。
アーティストは作品で返すしかない。

 

 

渡航前に香川県綾川町での壮行会で皆さんが書いてくれた横断幕もアトリエに飾った。

これは何が書いてあるの?とアトリエを見に来た人達によく聞かれた。

疲れたらこれを眺めて気持ちを奮い起たしていた。

 

 

壁画はアートセンターとの打ち合わせで6月中旬から制作スタートする予定。それまでにどんな壁画を描くのかイメージ図も作り市役所の文化事業部にプレゼンをして制作の承諾を貰う必要がある。何を描くかは実際の壁面と周囲の環境を見て一から考えたかったのでトルシーに到着して町を散策したり住民の人達と交流する中で少しずつ考えていった。

町の皆さんに「トルシーはどんな町ですか?」と聞くと「うーん、何もないね!笑」とよく返ってくる。ここはパリで働く人のベッドタウンのような町で確かに特徴的な場所や名物などはない。
でも何もないところに何かを見出すことはアーティストの得意とするところのはず。

 

 

 

あなたは1番良い季節にフランスに来たわね。ともよく言われた通り晴れの日が多く、とても気持ちいい青空にはよく飛行機がかかっている。CDGが近いからだろうか。

 

 

トルシーには公園や野原と池が多く鳥のさえずりもよく聞こえる。

 

 

こちらの人は日向ぼっこやピクニックが好きで芝生の上でよく気持ち良さそうに寛いでいる。

 

豊かな緑、静かな湖と川、常に聞こえる鳥のさえずり、そしてゆっくりと流れる時間と人々の営み。

 

メインのイメージモチーフが鳥、空、川、そしてその中で暮らす人々 に徐々に絞られてきた。

色は空と水の青と、周りの草木や土の色と一体感がでるように緑色とオレンジ色をメインに。

 

イメージを作るためのスケッチ。

 

 

アートセンターの庭でのスケッチ中子どもギター教室が行われていてイエローサブマリンやコンドルは飛んでいくなどを聴きながら木の葉がキラキラ光り揺れるのを眺める。トルシーの穏やかな午後。

 

私は壁画制作はその場所とのコラボレーションだと思っていてその場所の持ち主、その場所を使う人達に受け入れてもらえることに重きを置いている。それらと自分の作品性を合わせることでそれまでにない自分の新しい引き出しを開けることができるのがとても尊い経験だと思っている。

今回もあのアートセンターの空間を愛する人達に受け入れてもらえることを最も大事にしたかったので、壁画の構図も1つ構想するのではなく3パターン考えてその中から選んでもらうことにした。

 

 

パソコン上で壁面の画像の上に色やモチーフを重ねて構図を決めていく。

 

スタッフや市役所の人により熱意が伝わるように水彩画で壁面の10分の1スケールの下絵も描くことにした。これがかなり大変だった。

下絵を一度スタッフに見せる約束の前日になっても出来上がらず夜通し描くことに。アトリエスペースは夜はかなり暗くなってしまうのでアパートまで絵具を持ち帰って描き続けた。キッチンに持ち帰って描き続けた。朦朧としてきてここがフランスだということを忘れそうになる。

 

 

スタッフに見せるとちゃんと壁画について真剣に構想していることは伝わったようで安心してくれているようだった。そこから市役所の人に見せるまでの間も色々とイメージを追加したり整理したりした。

 

第1案は太陽と木の下で遊ぶ子ども達が持つボールが光になり魚、鳥へと変化していくイメージ。

 

第2案は木の下で親子がシャボン玉を飛ばしたものが魚、鳥へと変わっていくイメージ。

 

 

第3案は大きな木の下に光の川が真ん中で鳥鳥と魚に分かれて広がっていくイメージ。

 

 

6月半ばに市役所で壁画のプレゼンを行う。私としては第2案が1番バランスがいいかなと思っていたが、反応は市役所の人もアートセンターのスタッフも第3案がいいとのことだった。自分では意外だったけれどこういうこともあるのでやはり3パターン作ってよかったと思った。

 

 

大事なプレゼンが無事終わり万事上手く行きそうなのでやっと気持ちが楽になり近くのブーランジェリーで買ったティラミスをアパートのベランダで食べた。


あとは発注した壁画用の下地材が届くのを待つだけ。
いつの間にか慣れてしまっていた綺麗な景色がいつも以上に優しく見えた。

 

 

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